天然と養殖
・キャビアの原料となるチョウザメには天然と養殖があります。しかし、乱獲が進み絶滅が危惧られるようになった天然のチョウザメは、1975年に締結されたワシントン条約「絶滅のおそれのある野生動植物の種の国際取引に関する条約」の漁獲指定となっており、それらを原料に作られるキャビアの輸出は極めて厳しく管理されております。
キャビアの輸入にはCITES(サイテス)と呼ばれる輸出許可書を取得する必要がありますが、カスピ海産の天然チョウザメを原料とするキャビアではほぼ不可狽ナ現実的ではなく、現在では正規のルートで輸入された天然のチョウザメを原料とするキャビアを日本国内で見かけることはほとんどありません。(アメリカ産ヘラチョウザメを原料とするキャビアを除く。)
この為、現在では比較的養殖が容易で、良質なキャビアを生み出す、ロシアチョウザメ、シベリアチョウザメやシロチョウザメを中心に世界各国でチョウザメが養殖されキャビアが製品化されております。
チョウザメの種類と特徴
・現在生存するチョウザメは、チョウザメ科とヘラチョウザメ科の2科があり、チョウザメ類は28種類に及びます。これらの中でもキャビアが生産される種類は限られており、それぞれに特徴があります。
[粒の大きさ]:
・現在一般的に養殖されているチョウザメとしては粒のサイズが大きい順に、ベルーガと呼ばれるオオチョウザメ、オシェトラのロシアチョウザメ、シロチョウザメ、ハイブリッド、バエリと呼ばれるシベリアチョウザメとなります。ただし、粒のサイズに関しては、チョウザメの種類とともに養殖上の環境やチョウザメの世代、また卵を取り出す時期によっても異なるため一概には言えません。
[色]:
・ベルーガはダークグレーから白に近い物まで含まれ、ロシアチョウザメは琥珀色からゴールド、シロチョウザメは濃い黒、バエリは産地によって異なりますがツヤのある黒からグレーです。
[風味と味わい]:
・チョウザメの種類によって色やサイズは異なりますが、それが味わいや風味を連想させるほどの関連性はありません。キャビアの味わいは養殖場の環境や生産者の技術に左右される方が大きく、養殖場が屋外か屋内型かにより味わいがマイルドになったり野性味を感じるだけでなく、自然に近い環境の養殖池では泥臭く感じることがあるので注意が必要です.
フレッシュとパスチャライズ
・一般的に販売されるキャビアには原料を塩漬けし熟成しただけの「フレッシュ・キャビア」と、約60度で約20分ほど湯煎し低温殺菌処理された「パスチャライズ・キャビア」に分けることができます。フレッシュのキャビアは本来の食感と風味を楽しむことができますが、適度な塩分濃度(低塩)で作られるキャビアは原缶の開封後で保存期間が約3週間と極めて短いです。ヨーロッパ向けのキャビアには防腐剤としてホウ酸を添加していることがありますが、日本ではその使用が禁止されているため、加熱による殺菌で保存期間を流通に適したものしています。低温殺菌とは言え、タンパク質が主原料である卵は楓ハから固化します。この為、パスチャライズのキャビアはフレッシュに比べしっかりしており、プチプチした触感になります。この為、純粋にキャビアの味わいを楽しみたい場合にはフレッシュ、飾りに少量ずつ使用する場合にはパスチャライズと使い分ける事がおすすめです。
輸入形態とそれぞれの特徴
・キャビアは、基本的に約1.8kg(もしくは500g)の原缶に塩漬けされた状態で保存され、一定期間で上下をひっくり返すことにより熟成させます。そしてキャビアを輸入する際にはこの原缶で購入するか、小さな瓶や缶にリパックしたものを選択します。原缶を輸入する場合にはフレッシュ、リパックされたものは基本的にパスチャライズされております。フレッシュは賞味期限が極めて短いために毎週のように航空便で一定量を輸入して1〜2週間以内で売り切っていく方法はあまり現実的ではないからです。ここで、現地ブランドで販売されるパスチャライズのキャビアに関し注意が必要なことは、国内で行うパスチャライズに比べしっかりと加熱されていることにより、フレッシュを食べ慣れると固く感じることがあることです。「プチプチしておいしいキャビアでした。」といった阜サがされることがありますので、しっかりと加熱されたキャビアをネガティブに考える必要はないかもしれませんが、本来のフレッシュ キャビアをご存知の方には違和感を与えかねません。
一方、国内にリパック施設を用意し原缶で輸入されるキャビアは、フレッシュでも流通されるだけでなく、品質管理も優れており、パスチャライズも必要最低限である傾向があります。また、そういった輸入元はキャビアに関する知識とノウハウが豊富なので、使用する側としても安心できます。
おすすめ商品
[鯉沼商会]:
ホワイトスタージョン、ブラックオパール セレクション、オセトラ ゴールド、カラット オセトラ
・世界各国のキャビア生産者を巡り、長い経験から商品を選別、原缶で買い付けて国内の専用工場でリパックしております。余分なドリップを助ェに切ることにより歩留まりを向上させるなど、極めて高い品質を実現しているだけでなく、パスチャライズ(低温殺菌)処理に関しても、キャビアへのダメージを最小限にし、適度な弾力でありながらフレッシュさを残す状態『セミフレッシュ』を意識し、職人の技術と丁寧な作業で高い品質の製品を作り続けています。
[アルカン]:
ストゥーリア、アルカン
・フランスで養殖されるキャビアを原缶で仕入れ、国内の生産工場でリパックしております。キャビアを扱ってきた期間や販売数は国内でも有数で、積み重ねてきたノウハウで安心の品質です。
[ヤマオカ]:
アムールキャビア・中国で養殖されるキャビアを原缶で仕入れ、国内の専用工場でリパックしております。フレッシュにこだわり、パッキングを工夫することにより賞味期限を延長しております。中国の黒竜江には天然チョウザメが生息しており、そこで生産されたキャビアは20年ほど前まで日本でも人気を博していました。現在ではワシントン条約による規制でこれを輸入することはできませんが、キャビアの生産技術に関しては長い歴史とノウハウを持ち、養殖チョウザメによるキャビア生産でも年々世界的に高い評価を受けるようになっております。